“非常手段でいっきに解決”――それが公爵からのプロポーズだった。「デューク! 待て!」ソフィーは逃げ出した犬に鋭く命じた。すると歩道を歩いていた男性が突然立ち止まり、大おばの愛犬デュークは磨き上げられたブーツに激突した。「止めてくださって助かりました。この子が行方不明になったら、大おば様のお世話係を首になり、田舎に送り返されるところでしたわ」彫像のように美しくたくましい男性と言葉を交わすうち、彼の物憂げで苛立たしげな様子に気づいたソフィーは頬を赤らめ、しゃべりすぎたことを悔やみながら逃げるように立ち去った。このハンサムで陰のある紳士がデューク――公爵の称号を持つ大貴族で、ほどなく彼と愛なき婚約をすることになるとは夢…