『すじぼり』主演・藤原季節インタビュー| U-NEXT

藤原季節 異端児・小林勇貴監督が挑むU-NEXTオリジナル配信ドラマ『すじぼり』。主人公の滝川亮役で連続ドラマ初主演を務めるのは、若手実力派の藤原季節。 焼け付くような熱気の中、小林監督とともに駆け抜けた撮影の日々を語った。

まさかの初主演ドラマが 小林勇貴監督とのタッグ。とても興奮しました。
( 藤原季節 )

藤原季節

毎日が刺激的な撮影現場の熱狂

藤原にとって初めての連続ドラマ主演作が、小林監督作品であり、『すじぼり』だったことは運命だったのかもしれない。藤原は、長年持ち続けていた主演への熱い野心を恥ずかしげもなくさらけ出した。

藤原季節

今までは主役にエネルギーをぶつけるような役が多かったんですが正直、心の中ではもう主役しか興味がないっていう気持ちでずっとやってきました。どなたの作品で、初めて主役やらせていただくんだろうと思っていたらまさかの小林勇貴監督。とても興奮しました

小林監督の現場は第1話目から壮絶だった。亮が友人たちとノリでクラブに大麻を盗みにいくシーンは、一瞬のミスも許されない緊迫感のなか、オールワンカットで撮影された。

藤原季節

クラブに入って大麻を盗んで、そこから逃げるまでを全部ワンカットで撮っているんですけど、台本に『途中で車に轢かれる亮』って書いてあって、意味がわからなくて(笑)。そしたら現場で本当にスタッフが車で待機していて、僕が出てきたところをバンって轢こうとするのを僕がギリギリでかわして逃げていく。1話でこれかっていう衝撃が大きかったです

本編でも5分以上あるこの長回しは、否応無しに感じさせられる臨場感が、まるで媚薬のように映像世界へと観客を引き込んでいく衝撃的なシーンだ。

藤原季節

そのシーンを撮り切った後に、スタッフもキャストも全員でモニターを見てたんですけど監督がOK!って言った瞬間にワーッてみんなが叫んだんですよ。小林組のアドレナリンを全員が感じました

その興奮は高熱となって画面にも確実に伝わってくる。それだけにドラマ版の『すじぼり』は、原作をはるかに飛び越えたものになっていると藤原は言う。

藤原季節

小林監督の中では原作をドラマ化することへの枠組みがなくて、そういう概念に全くとらわれてないんです。例えば、原作だと親父と亮が話し合いをしているシーンでも、ドラマ版は全裸で殺しあいをしているんです。めちゃくちゃですよね(笑)。でも、それが小林監督にとっての親子の会話の表現になるんです

藤原季節

表現の限界を超える配信ドラマの可能性

現場での強烈な感情を忘れたくないとの思いから藤原が書き記した撮影日記は、日々の思いが書きなぐられていた。その熱さは、狂乱の中で闇社会へと飲み込まれていく主人公・滝川亮の狂気へと繋がっていく。

藤原季節

亮が持つ狂気って僕の中で結構リアルで、例えば1話でも、指にドス当てられたりして。想像すらできないから、かなり振り切った芝居をしました。逆に振り切った方がリアルっていうのが小林監督の口癖なんです。幻想に振り切った方がよりリアルだと

作中で藤原は、泣きわめき、絶叫する。滝川亮という人間を藤原はどう捉えているのか。

藤原季節

亮は、弱い人間なんです。弱いから噛みついて離さない野良犬なんですよ。殴られて蹴られて痛い思いしても、絶叫しながらも絶対に離れない。速水組の仲間たちと決別できないから刺青を入れる。この共通認識だけは僕も監督も絶対ぶれなかったから、どんなにリミッターの外れた芝居になったとしても大丈夫だったんだと思います

撮影はゲリラ撮影が多く、藤原が血だらけになっていても通行人が素通りすることも多かったそう。ノンフィクションの現実の中にリアルじゃないものが飛び込んできたときに、人は見なかったことにする。その事実こそが小林監督の狙いであり、ネット配信に通じる重要なキーだと藤原は話す。

藤原季節

ネット配信って、通勤、通学の電車の中とか、自分の日常生活の中に飛び込みやすい。映画館の中で観るって非現実的な感覚になれるけど、現実的な空間で『すじぼり』を見るっていうのが重要なんです。ドラマっていう枠の中から飛び出した衝撃を見たときに、それを見ないふりをして、蓋をするのか、しないのかっていうことを問いかける瞬間がこのドラマにはあると思います

命がけで撮影に挑んだ藤原は、視聴者にワンカットたりとも見逃してほしくないという。

藤原季節

途中でやめるのは無理だと思います。もしも通勤15分の電車の中で鑑賞したら、残りは駅のホームで観ることになると思います(笑)

藤原季節主演・青春任侠ドラマ
『すじぼり』独占配信中

やりたいことも好きなことも見つからず、鬱屈の日々をダラダラと過ごす大学生の亮。ある日、憂さ晴らしに悪友らとある悪だくみを実行するが、大失敗。チンピラたちに追われてしまう。偶然居合わせ、助けてくれたのは、速水組というやくざの組長だった…。

総監督 / 小林勇貴 監督 / 鳴瀬聖人、阪元裕吾、西村喜廣 出演 / 藤原季節、篠原篤、高橋和也 c福澤徹三・KADOKAWA / すじぼり製作委員会

藤原季節

藤原季節 ふじわら・きせつ

1995年生まれ。2013年オフィス作のワークショップオーディションで500人以上の中から選出され同事務所所属に。最近の出演作は『止められるか、俺たちを』『純平、考え直せ』、待機作に『のさりの島』(20年夏公開予定)がある。