劇団「ヨーロッパ企画」代表・上田誠インタビュー| U-NEXT

京都を拠点に活動をする人気劇団・ヨーロッパ企画。舞台公演の一方で、彼らが精力的に行うのが、ショートフィルムの制作だ。コツコツ撮りためてきた数、実に200本以上! 短編ならではの魅力について、劇団代表の上田誠に話を聞いた。

U-NEXTのラインナップはヨーロッパ企画の最前線と言えるかもしれません。

( 上田誠 )

上田誠

作る側の主語が強いほど映画はおもしろくなる

「今日どんな顔をして振る舞えばいいかわからなくて(笑)」。取材中、ヨーロッパ企画の代表・上田誠がふと漏らしたひと言だ。ヨーロッパ企画とは、あるときは劇団、あるときはショートフィルムを手がける映像制作集団。ほかにも、外部作品の脚本やラジオのパーソナリティ、携帯アプリの開発など、本人も困惑するほど(!)多彩な顔を持つ。U-NEXTでは、過去の本公演やメンバーの監督作を観ることができる。

上田誠

永野(宗典)さんのクレイアニメ『黄金』は独白の多い思弁的な映画。諏訪(雅)さんの『マスマティックな夕暮れ』は、本人が写真を趣味にしていることもあり、画の風合いや構図が素晴らしくて。原案が僕で、メンバーも出ているので、ヨーロッパ企画初心者の方にもおすすめの作品です。

「マスマティックな夕暮れ」より

「マスマティックな夕暮れ」より

かく言う上田の監督作品『ハウリング』は、テレビの中から「2分後の俺だ」と主張する自分自身と会話する男の姿を、CGを使わず11分間の長回しで見せるソリッドなタイムトリックムービーだ。上田は、こうした“映像トリック”が好きだと自己分析する。

上田誠

例えばピタゴラスイッチ装置の映像って、以前の映像業界では、どこかマイノリティだったと思うんです。でも動画が出始めたころから、そうした映像トリック系の作品が勢力を増してきたような気がして。僕はお芝居でも“企画性コメディ”といって、迷路やだまし絵などの仕掛けに重きを置いて、劇を作っています。 『普通、演劇でそれはやらないだろう』みたいな思いつきをどうしたら形にできるか考えるのは、割と僕の得意とするところで。『ハウリング』も、テレビの中の自分と会話する仕掛けをつきつめて映画にしたらこうなる!という一点突破型の作品。演劇でもそうですが、ものを作る過程で“何のために作っているのか?”という動機が見えなくなることがある。でもこの仕掛けありきの作り方なら、アイデアの出どころがはっきりしているからブレないんです。

すでに配信中の作品が「舞台もやれば映画も撮る」という劇団の自己紹介的な立ち位置だとすれば、5月から配信された『ゴ』『ロック』などの12本は、メンバーの個性が凝縮した5分以内の短編を厳選した見本市。いずれも彼らが主催する映画祭「ショートショートムービーフェスティバル」で上映された作品だ。

上田誠

5分という限られた時間の中でお客さんをどう惹きつけるか。大会での戦いを通して、そのタフさが次第に身についてきました。

そして昔の作品であるほど、荒削りながらも初期衝動や映画づくりの純粋な喜びに満ちている。

上田誠

ビデオカメラを使い4:3サイズで撮っていたころ、『自分たちで映画を撮っている!』という感覚が確かにあった。今観ても、映画黎明期の熱と近いものを感じます。それに、僕らのショートフィルムって、映画らしい映画だとも思っていて。 というのも、僕自身、映画の脚本を書くときは富士山の5合目から参加しているようで、自分の手の届かないこともある。一方、いちから自分たちで作るショートフィルムは、やれること、やれないことが形になっています。誰に頼まれたものでもない、“自分たちの映画”。その主語が強ければ強いほど、作品はおもしろくなると思っています。

上田誠

“つまみ食い”感覚で楽しむ!可能性を秘めた短編映画

京都を拠点に活動するヨーロッパ企画。それゆえ、配信には可能性を感じているという。

上田誠

オリジナルで映画を作る場合、映画館に足を運んでもらう導線があるかは大事なポイント。『映画館で事件が起きているらしい』という質感を持ち、重装備しないと戦えないと思うんです。その点、配信はその質量が限りなくゼロに近い。
観る人は“つまみ食い感覚”で楽しめるし、作り手はもっと軽やかに作品を撮れるはず。短編には短編の喜びがあるんですよね。配信は尺が短いほど良いという世界でもあり、それって大きな逆転だと思うんです。そういう意味で、U-NEXTのラインナップは僕らの最前線とも言えるかも。

そして取材終盤、「余談なんですが」と上田は切り出した。

上田誠

僕、サムネイルにめちゃくちゃワクワクするんです(笑)。画面が小さくなって並んでいる光景が好きで、もっと加えたいと思っています。しかも僕らはタイトルも凝っているからサムネイル映えするものばかり。ぜひジャケ買い感覚で、ヨーロッパ企画の作品に出会ってもらえたら嬉しいです。

上田誠
上田 誠 うえだ・まこと
1979年生まれ。1998年にヨーロッパ企画を旗揚げし、全ての公演の脚本、演出を担当。テレビやラジオの企画、構成も手がけるほか、『ペンギン・ハイウェイ』(’18)など映画の脚本家としても活躍。
ヨーロッパ企画とは
ヨーロッパ企画とは
1998年の結成以来、一貫してコメディを上演する劇団。DVDやテレビ番組制作、ラジオ、WEB企画など多方面にわたってコンテンツを制作。本広克行監督と『サマータイムマシン・ブルース』(’05)など、舞台作品の映画化にも取り組む。5月18日に「第10回ショートショートムービーフェスティバル」東京大会、6月15日から21日まで「ヨーロッパ企画の京都ニューシネマvol.6」を開催。
公式サイト: http://www.europe-kikaku.com

ヨーロッパ企画Presents 「第10回ショートショートムービーフェスティバル」東京大会

京都の劇団、ヨーロッパ企画による、5分間の映画を撮って殴り合うイベント「ショートショートムービーフェスティバル」東京大会が開催されます!

■開催概要

日時:
2019年5月18日(土)
開場:
12:30
開演:
13:00
場所:
渋谷ユーロライブ
料金:
前売¥3,500
当日¥4,000(全席指定・税込)

上田誠さんのコメント

10回目を迎えるヨーロッパ企画の名物映画イベント、ショート ショートムービーフェスティバルです。
2018年の暮れ、カウントダウンイベントで京都大会をやったのでした。
ヨーロッパ企画内外の監督たちが、5分間の映画を撮り、見せあう。

21年目を迎えた我々にちなみ、共通テーマは「21」。
ベテラン若手あわせて18人がしのぎをけずり、観客投票によってグランプリを決める。
京都大会では、ベテラン勢が若手に大きく水をあけられました。
これにはまったく納得していませんし、遠い平成のことです。
令和元年、東京大会で真の雌雄を決したいと思います。

審査員には、本広克行監督と、藤村忠寿・嬉野雅道両氏をお招きしました。
客席に岩が3つある感じになると思います、岩が18回唸ればいいです。
あなたの1票で、本当に涙する監督がいるのです。
(上田誠)