室生犀子(さいこ)は金沢の西茶屋の水琴楼の娘で女優である。自分が見つけた新人女優の吉宮令佳と共に新作の『細川ガラシャ』の稽古に励んでいる。令佳(れいか)は悩みごとがあるために演技に迷いがある。稽古を見ていた戯曲の原作者のフォークロア学教授の泉鏡(いずみかがみ)は、演技術を伝授することで令佳の悩みを救おうとする。令佳の悩みの原因は引きこもりの弟のが新興宗教に入信したことであった。実は圭は新興宗教「心の友」から相次いで亡くなった両親の遺産「風茶楼(ふうちゃろう)」の寄付を迫られているのであった。東京の検事職を辞めて最近金沢で弁護士を始めた徳田秋子は犀子と鏡の共通の友人である。鏡の親戚である多美が女将を務める主計町(かずえまち…